……これは俺の、醜い独占欲だから。

「え?」

 京都さんは、さっぱり意味が分からないといったように瞬きを繰り返している。

 そりゃあ、誰でも突然こう言われたら驚くに決まってるよね。

 不審がられても文句は言えない、か……。

 それでもそう簡単に自分の気持ちを抑え込むなんて事はできず、言葉に表した。

「俺のことも……名前で呼んでほしいな。」

「…………へっ?」

 予想外、と言わんばかりの京都さん。

 そんな彼女につい、頬が綻んでしまう。

 拍子抜けしたように呆気に取られている顔も可愛くて、微笑みかける。

 だけど頑張って我慢して、彼女に補足を付け加えようとした……その時だった。

「それなら……雅君って呼んで、いいですか?」

 ……まさか、京都さんからそう言ってくれるなんて。

 俺のことを警戒してるはずなのに、進んでそう言ってくれた事実が嬉しすぎた。

 そして何より……はっきりと俺の名前を、言ってくれているところにも。

 桜華そっくりの声から作られた言葉に、否応なしに胸が高鳴る。