「……それ、本当なの?」

「こんなしょうもない嘘、吐くわけないじゃない。……焦ってんのよ、こっちは。何も知らないなら別にいいわ。」

 捨て台詞のようにそう言った杠葉さんは、苛立ったように踵を返した。

 そんな彼女に、ふっと息を吐く。

 彼女からは凄く京都さん大好きオーラが洩れていて、どれだけ京都さんを可愛がっているのかが丸わかりだ。

 きっと、京都さんの性格がそうさせているんだろうけどね。

 前世から変わらない、ふわふわしていて守りたくなる衝動を駆り立たせる天才。

 小動物のように可愛らしくてか弱くて、謙虚すぎる良い子。

 だから杠葉さんも、彼女を気に入っているんだろう。

 そう悟りながらも、呑気にしていられないと気付く。

 ……俺も、京都さんを探さないと。

 杠葉さん直々に言われたわけじゃないけど、早く京都さんを視界に入れたかった。

 ……何だか、胸騒ぎがしたから。



 しばらく講堂内を歩いて見て回っても、京都さんの姿は見当たらない。

 途中で何度か杠葉さんにも会ったけど、やっぱりまだ見つかっていないようだった。