少し前に、強引だけどデートの約束を取り付けた。

『今月末の日曜日に、一緒に遊びに行かない?』

 京都さんに間違って押し倒された時に、やっぱりこう思ったから。

 ……こんなに可愛いのを、離したくないって。

 もちろん彼女は桜華じゃないし、京都咲桜だという一人の人間である事も分かっている。

 京都さんが桜華なのは、ほとんど確実だけど……。

 だからといって無理やり繋ぎ止めるような真似は、したくない。

 京都さんには、記憶がないんだから。

 それでももう彼女を離したくない一心で、そう口走った。

 きっと京都さんは俺のこと、引いてるだろうな。

 了承はしてくれたものの、急に抱きしめてきた相手に警戒するのも無理はない。

 それにこの前、面と向かって警戒してるって言われちゃったしね……あはは。

 嘲笑うように思いを馳せ、溢れ出そうになる笑みを必死に我慢する。

 彼女には気持ちがない事も分かっている。ただ、知り合いとして接してくれているのも分かっているけど。

 ……あの華奢な姿と可愛らしく愛らしい笑みを思い出して、幸せに浸っていた。