子どもの頃のレナルド様の夢を見た。泣くことも出来ず、たった一人で、剣に打ち込み続ける姿は、寂しくて、つらくて、悲しい。
そんな夢を見てしまったのは、再会した時の、レナルド様の様子が、あまりにもおかしかったせいなのだろうか。
「レナルド様?」
それなのに、淡いピンクの花、レナルド様の色をした宝石にドレス、色とりどりのお菓子にご馳走で埋め尽くされた部屋は、そんなこと忘れてしまいそうになるくらい、幸せでいっぱいだ。
「リサ、口開けて? そうでないと、食べさせられません」
「あの、どうして食事介助されているのでしょう」
「俺がしたいから」
なんだろう、この甘すぎる空気は。
なぜか私に、自らの手で一口大に切り分けた、柔らかいお肉を食べさせてくるレナルド様。
魔獣のお肉ではないかと疑ったけれど、『普通の肉だね』とシストが言うから、信じることにした。美味しすぎる。
私の口についてしまったソースを拭きながら、「幸せです」とレナルド様が、嬉しそうに笑う。
夢の中のレナルド様、再会の時に、私に切羽詰まったように縋り付いてきた姿。
その片鱗さえ見えないことが、私を逆に不安にさせる。
日に日にレナルド様への想いが強くなっていく。それは、全てが知りたいという、願望。
それなのに、私はまだ、レナルド様に「好き」の一言さえ、伝えられずにいた。
守護騎士という言葉が、ステータスから消えてしまったレナルド様。
それなのに、距離だけは近くなっても、いつものように優しくて穏やかなレナルド様。
「好きです。リサ」