今は,企画に当選したリスナーへのグッズ発送のため,一つ一つ包装しているところだった。

バラバラのグッズ達が部屋にあり,間違いがないよう名前を書いた紙を貼った袋がある。

大した数ではないが,どれもバラバラで面倒なため,引っ越し作業同様奏を呼んだのだ。



「ねぇ? ところで。あれは例の子に渡せたの?」



奏は1枚の衣類グッズを丁寧に畳ながら,視線を宙に浮かせた。



「お礼を渡す相手って言ってたけど,あれでしょどうせ。いづみに初対面でプロポーズしたって言う,彼。名前何だったかな~」

「ちょっと待て。誰か以前に,何故奏がそれを知っている」

「え~? 今更じゃない? いづみの事で知らないことなんてないの。お友達が教えてくれたんだ~」



奏にとっての友達は,敢えて悪い言い方をすると密偵(スパイ)の事の様だ。

私と奏は大学が別だが,いつ知り合ったのか私の大学内にも知り合いがいるんだろう。

私はまた1つ,ため息を吐いた。