「今更だと思うんですけど,一応。あれ,取り消して貰っても良いですか? 勿論,付き合って欲しいと言ったことも。今はもう,こうして会えるのが楽しいと思っているだけです」
嘘です。
前半が先輩の言う誤魔化しと,ちょっとの嘘です。
だけ,なんてあり得ない。
好きです。
大好きです。
だから,これからもそばにいてください。
周りの男女の目が痛いこの生活を,続けさせてください。
「……そうか。私は別に構わない」
先輩の目が,また俺を外した。
体勢変わらず,静かに外を眺めている。
呆れられるか,だからなんだと言われるかと思っていたのに。
少しだけ,驚いてしまった。



