「う……すみません……」



だって,だってそれはつまり……

あの瞬間の高揚や喜びを,俺と共有しようとしてくれたってことで…。

そりゃ,他に人がいなかったのかもしれないけど……嬉しいだろ。

勘違いだって落とされる前に,自分で否定したくなるだろ。



「…すいません」

「?」

「めっちゃ嬉しいです…」

「~っふん」



先輩は居心地悪そうに顔を背けた。

そんなところも,先輩らしい。

ーそんな幸福に満ちた時を過ごそうとも,現実は厳しかった。

『……ハル @氷室奏プレゼント企画当選祈願』

当落発表の日,先輩からDMが来ることも,先輩の口から俺のアカウント名が呼ばれることも無かった。