オタクな俺とリアルな彼女。

『1つ君達に言い忘れていた。私の身の安全を保障するため,配送は匿名にするつもりなのだが……肝心の当選者数だ。どのみち運でしかないが,気になるやつもいるのだろう。そう多くはないが……一応120の枠を用意した』



ひゃっ?!

普通5とか10とか30とかじゃ無いのだろうか。

いきなり1人で行う規模じゃない。



『準備が出来次第,当選者には私から個人情報の入力フォームと共にDMを送ろう。但し,その日の配信で私が名前を呼ぶまでは入力するな。詐欺にかかっても自己責任だと思え』

『説明は以上。当選者は毎日数十人ずつ決めるつもりだ。今日からな。理解したやつから行け』



リスナーが大慌てで挨拶を残し,また一人と去っていく。

お,俺も行かなきゃ……



『ふっ』



画面の奥では,先輩が吹き出すように声を出して,楽しそうに笑っていた。



『なかなか愉快なものだな』



優しく細められた瞳が,俺のと合った気がした。