オタクな俺とリアルな彼女。

そろそろ1か月位だろうか。

カフェスペースの景色は変わらない。

先輩の近くにいたい。

それだけで,こんなに側に置いておいて貰えるなんて思わなかった。

先輩に逢って何日目,みたいなの数えとけば良かったと思うくらい,贅沢な毎日を過ごしている。

あの日が何日か知るにはどうしたらいいだろう。



「先輩のツイキャス,本当にリスナー増えましたよね…」

「なんだ突然」

「や,グッズとかやんないのかなって」



有名な配信者はそう言った企画·販売をするのがメジャーだったりした。

しかし考え直すと,踏み込みすぎたような気がする。

しかも個人のリスナーとしての願望を本人に言ってしまった。

最悪だ。

1度放った言葉は決して取り戻せない。

盆水盆に返らずというやつ。



「酒を呑んでいるだけだろう。欲しいか? そんなもの」



先輩は気にしてもいないように,俺をじっと見た。

本音を,言っていいのなら。



「めっちゃ,欲しいです」

「ふむ,そう言うものか。生憎配信で稼いだ金はある。だが,グッズと言われてもピンと来ないな。何かあるか?」



そこまで聞いて貰っても,いいんだろうか……

自慢できる友人がいないのが,心底悔やまれる。

1人で抱えるには,心臓が爆発してしまいそうだった。