「アルバムの最後のページに、モノクロの写真があってね、そこに若い頃のお義父さまと女性が写っているの。知ってる?その写真?」

『へ? ああ~~あああ~~知ってる! 知ってる!あの写真は、、あれはマズイよなぁ~~親父の若い頃の好きだった人の写真だから』
「好きだった人? そうなの?」
『うん、そうみたいだよ。 あの写真で、ウチの母さんが何度泣いた事か。親父と喧嘩するだろ?そしたら、必ずウチの母さん、あの写真を眺めるんだよ』
「喧嘩した後に?どうして?」

『きっと母さんの中では、あの写真の女性はライバルなんだよ!親父は何も言わないけど、女の勘ってヤツだろうな~で、あの写真を見てさ、ヤキモチ妬いて親父との喧嘩を忘れるようにしてるのかな?』

「俊はお義父さまに聞いたことがあるの? 好きな人だったって?」

『小さい頃にね、親父が僕とふたりだけの時に、一度だけ呟いたのを聞いた。酔っ払ってたから、、でも本音だろうな。母さんがいなくて良かったよ』

「そう、、」
『でも、それがどうした? 親父が何か、薫に話したの?』
「ううん、そうじゃないの、実は俊のお母様との馴れ初めを聞こうとして、、」
『で、、聞けた?』
「それが、ちょっとだけ、、」

薫の母の写真をお義母さまが、あのアルバムに貼ったのだとしたら、、お義母さまは、私の母の事も知っているのかな? それに、俊が聞いたように、母が好きな女性(ひと)なら、どうして母と別れたんだろう? それは結果的には私たちにとって良かった事だけど、気になる。
お義母さまとの出会いも、ちゃんと聞けなかったし、、そうだ!今度はお義母さまに聞いてみよう。

薫さんが、何か思い悩んでいるように俊センセイには映ったのでしょう。
俊センセイはいつも行動派です。特に薫さんには。

『やっぱり薫、、こっちにおいで。いや、僕がそっちに行こう』

そう言うと、さっさと優人クンを飛び越えて、薫さんの布団の中に潜り込みます
それもニコニコ顔で。

『薫? 大丈夫?』
「うん? ええ、大丈夫よ。 あん、もう、ダメよ~ 俊ったら触っちゃ、、」
『薫が元気ないから、僕が慰めてあげる、、ネ?』


やはりお二人は仲がとってもよろしい様で。あらあら、俊センセイの体制はすでに薫さんを組み敷いておいでです。