さて、優人は父親という存在が傍にいる生活に最初はなかなか慣れずにいたけど、お互いに譲る?という事を覚えたみたい。彼らは”私の横をとりあいこする仲”だから。
それでも、今では最後に優人と俊が並んで仲良く寝る姿が板にツイてきた。

私の今は医師としての仕事をやめて、優人と俊の面倒をみてる?
はい、イロイロと大変なんです。だけど、とっても幸せで、、愛している人を手放していけないんですね。




「パパの爺じ(ジイジ)婆ば(バアバ)にびゅ~~ん!」
『凄いなぁ~飛行機だぁ~ 優人は爺じと婆ばが好きなんだよな?』
「うん!」

福岡に向かう飛行機の中で、元気に返事を返す我が子。
日本地図が書かれたペーパーの上でCAに貰った飛行機のおもちゃを持って遊ぶ優人の言葉に、笑顔で優しい瞳を向ける父親は相変わらず人の目を惹きつけていた。
3列シートの窓際に私、真ん中に優人、通路側のシートに俊が座っているのだが、さっきから通路を歩く女性の目がチラチラ、でもなく二度見してしまうのだ。
彼は本当にとても目立つ。
体系はスラッとしていて背が高く、一八〇センチ越えの身体に職場で着衣するスクラブは間違いなく似合うし、白衣だってカッコいい。でも今日はプライベート感ありありのカジュアルなスタイルで、キャメル色のジャケットにインナーは白シャツ、グレーのパンツを合わせてるだけなのに、隠しきれない大人の色気が漏れている。
こちらから横顔をチラッとみると、すっと通った鼻筋にシャープな顎のライン、形のよい薄い唇にやっぱりドキッとしてしまう。タブレットを見ている彼の目は、今は色付きのブルーライトカット眼鏡をかけていてはっきり見えないが、、いや、見せる必要はない。私にはわかっているのだから。

「失礼いたします、お飲み物は何になさいますか?」

ボーっと俊の事を考えていたら、通路側に飲み物のワゴンを引いたCAがにこやかに笑顔を向けている。もちろん、その笑顔の先は俊に対してなのだけど。