「…ああ。このまま手伝わなくて俺のせいで悪霊なんかになられても、困るからな」


「ありがとう!…そうだ!そういえば、どうして私の姿が茅乃に見えたの?体が金色に光ってたけど、楓がやってくれたの!?」



そういえばずっと気になっていたことをふと思い出す。



「いや、早乙女が出ていった次の日に、害のなさそうな地縛霊たちに聞き込んでみたんだ。思えば俺は、霊感はあったけど霊が嫌いで避けてきていたから、知っていることが少ないなって。…それでわかったんだ。未練内容が〇〇ともう一度会いたい、とか〇〇ともう一度だけ話したいとか、未練に関わっている人とは会うことができるらしい。それがあの光だ。あれが光っている間だけはお互いに見えて会話もできるし触れる」


「へぇ…。私のために、そこまで調べてくれたの?人と話すことも嫌いな楓が…?」


「…べ、別に早乙女のためとかではなくて…」



顔を赤くしてそっぽを向く楓が面白くて、思わず吹き出す。



「ありがとう楓ー!」



私のために色々してくれることが嬉しくて、楓に抱きつく仕草をするが、すかっとすり抜けてしまい転ぶ。


…こういう時、触れないのって少し残念だなって感じる。



「…とりあえず、明日から二つ目の未練探し始めるからな。今日はもう寝とけ」


「はーい」



お風呂に行く楓におやすみと声をかけて、すっかり定位置となった部屋の隅っこに体育座りをする。


次の未練はすぐに思い出せるといいな。


お母さんのこと…早く思い出したい。



そう願いながら、目を閉じた。