カロリーメイトを食べながら話す十の胸ぐらを、桜士は掴む。驚いている十を桜士は睨み付けた。

「四月一日一花とヨハン・ファジル、二人はwingのeagleのメンバーだった。……調べた時に気付かなかったのか？」

「は、離してくださいよ……」

十は真っ青な顔で桜士の手を振り解く。そして、深呼吸を一度した後に言った。

「初耳ですよ、その情報。wingのpigeonならともかくeagleのメンバーの情報って厳しく管理されてるんで、相当なパソコンの腕前じゃないと無理なんですよ。それに、まさかeagleのメンバーがいるとか思いもしませんし……」

「そうか……悪かった……」

桜士がフウッと息を吐きながら頭を抱えると、十は少しホッとしたような顔をして仕事にまた取り掛かり始める。その時、桜士の肩を誰かがポンと叩いた。

「お疲れ様」

「安藤（あんどう）警視正！お疲れ様です！」

桜士が上司である彼に頭を下げると、安藤警視正は「ちょっといいかな」と言い、桜士は別室へと連れて行かれる。そこは、潜入捜査を命じられた部屋だった。