「私とミンジュンは、どこかの廃墟に気が付けば迷い込んでいました。ミンジュンは足を負傷していて、血が流れていました。ミンジュンは自分を置いて逃げるように言いましたが、そんなことできません!ですが、言い争っている声を聞きつけてやって来たテロ組織の人間に私は胸を撃たれて、そのまま意識を失ってしまいました。……そして、気が付いたらeagleのみんなに助けられていた」

だが、ミンジュンは行方不明になっており、胸の銃弾を摘出された一花の首にミンジュンの認識表がかけられていたそうだ。

「……彼を守れなかったこと、それが私の中に一番ある後悔です」

一花の瞳から涙が零れ落ちる。彼女の涙を目にするのは初めてだった。花が咲いたように笑う一花の涙は、まるで宝石のように綺麗だ。だが、桜士の心を締め付けて行く。

「四月一日先生……」

その涙を拭いたい。そう思ったが、桜士の手は何故か動かなかった。



夕食を食べ終えた後、桜士はすぐに警視庁へと向かう。公安の部署に入ると、部下の灰原十(はいばらみつる)が驚いていた。

「く、九条ふぁん!?今日はここには来ないんじゃ……」