「一花、こればかりは仕方ないだろ。お前はずっとアメリカ暮らしだったんだし。しかも飛び級で医学を勉強してたし」

ヨハンがそう言うものの、一花は落ち込んだままだ。その目には涙が浮かんでいる。

「このままでは、二人の勉強を見るどころか足を引っ張ってしまいます!本田先生、教えてくれませんか?」

ジッと見つめられ、桜士の顔が赤く染まる。好きな人に頼まれて断る人間はいないだろう。桜士は拳を握り締め、言った。

「わかりました、教えます。僕は日本史が一番得意科目でしたから」

「わあ、ありがとうございます!」

一花の笑顔を見て、桜士はフッとヨハンに勝ち誇った笑みを見せた。ヨハンは悔しげな顔をしている。

勉強をする前に、どこの範囲が苦手なのか知る必要がある。そのため、桜士は適当に問題を出してみることにした。

「それでは第一問、日本の初代内閣総理大臣は?」

「西郷隆盛です!」←伊藤博文です

「第二問、枕草子を書いた人は?」