「四月一日先生も何か本を買いに来たんですか?」

「はい、そうなんです。どうしてもほしい本があって……」

どんな本を買いに来たのだろう、と桜士は考える。ファッション雑誌だろうか、それとも恋愛小説か、それとも少女漫画かもしれない。

桜士と一花は話しながら歩く。漫画コーナーを過ぎ、恋愛小説のコーナーも過ぎてしまった。雑誌が置かれているコーナーはとっくに過ぎている。

一花が立ち止まったのは、料理本が置かれたコーナーだった。家庭料理が載ったものから、おしゃれなフランス料理やイタリア料理のものまで、たくさんの種類の料理本が並んでいる。

「料理、ですか?」

「はい。実は私、料理があまり得意ではないんです。アメリカでは叔母さんが「勉強に専念して」と言って作ってくれていたので……。それにwingのeagleに所属するようになってからは、紛争地域に行くことが多くて尚更料理なんてしている時間がなくて……」