それからわたしはあの日の事故のこと、千冬に言われた言葉、自分の思いをただただ吐き出す様に喋った。
時折言葉に詰まったり泣きそうになる度に「(ゆっくりでいいよ)」と先生に声を掛けてもらいながら、文法も何もない、溜まっていた悲しみをぶつける様に話した。
「(六花ちゃん)」
話終えた後、先生は自身のハンカチをそっと差し出してくれたけれど汚してしまうしそれを受け取ってもいいものかどうか迷っていたら困ったように微笑んだ先生が柔らかく布をわたしの目元に押し当てた。
「(話してくれてありがとう)」
「⋯っごめんなさい、こんな事言われても困るだけなのに⋯」
「(そんな事ないよ。一人で抱え込まずに誰かに助けを求める事はとても大事だから。だからそれが出来た六花ちゃんはえらいよ)」
まるで幼い子どもに語りかけるみたいにゆっくりとその口を動かす海人先生はくしゃりとわたしの頭を撫でる。
その仕草はお兄ちゃんのようでもあり、海人先生はわたしにとって本当に色んな存在になってくれているのだなと思った。
そして涙の止まったわたしを見て先生が透明な言葉を紡いでいく。
「(俺はね、彼────、千冬くんの言葉は本心であって本心ではない気がする)」
「⋯⋯どういう意味ですか?」
「(俺は彼自身ではないからこれはただの想像にしか過ぎないんだけど、彼はただ怖いだけだよ)」
「怖い⋯?」
「(六花ちゃんと向き合うのが怖いんだよ。大切な人である六花ちゃんに嫌われる事が怖くて、また傷つけてしまう事が怖い。ただそれだけの様に思える)」
「⋯⋯っ」
「(だって話を聞く限り、二人はただすれ違ってるだけだ)」
「すれ違って⋯、」
「(俺には彼は六花ちゃんのことが本当に大切なんだなぁって思ったけど)」
千冬がわたしを大切⋯?
確かに事故の前はわたし達は仲が良かったし、一番傍にいる存在だと胸を張って言えた。
だけどそれは過去の事で今千冬がわたしのことを大切だと思っているとは思えない。
千冬を苦しめていたわたしなんかのことを⋯⋯。
時折言葉に詰まったり泣きそうになる度に「(ゆっくりでいいよ)」と先生に声を掛けてもらいながら、文法も何もない、溜まっていた悲しみをぶつける様に話した。
「(六花ちゃん)」
話終えた後、先生は自身のハンカチをそっと差し出してくれたけれど汚してしまうしそれを受け取ってもいいものかどうか迷っていたら困ったように微笑んだ先生が柔らかく布をわたしの目元に押し当てた。
「(話してくれてありがとう)」
「⋯っごめんなさい、こんな事言われても困るだけなのに⋯」
「(そんな事ないよ。一人で抱え込まずに誰かに助けを求める事はとても大事だから。だからそれが出来た六花ちゃんはえらいよ)」
まるで幼い子どもに語りかけるみたいにゆっくりとその口を動かす海人先生はくしゃりとわたしの頭を撫でる。
その仕草はお兄ちゃんのようでもあり、海人先生はわたしにとって本当に色んな存在になってくれているのだなと思った。
そして涙の止まったわたしを見て先生が透明な言葉を紡いでいく。
「(俺はね、彼────、千冬くんの言葉は本心であって本心ではない気がする)」
「⋯⋯どういう意味ですか?」
「(俺は彼自身ではないからこれはただの想像にしか過ぎないんだけど、彼はただ怖いだけだよ)」
「怖い⋯?」
「(六花ちゃんと向き合うのが怖いんだよ。大切な人である六花ちゃんに嫌われる事が怖くて、また傷つけてしまう事が怖い。ただそれだけの様に思える)」
「⋯⋯っ」
「(だって話を聞く限り、二人はただすれ違ってるだけだ)」
「すれ違って⋯、」
「(俺には彼は六花ちゃんのことが本当に大切なんだなぁって思ったけど)」
千冬がわたしを大切⋯?
確かに事故の前はわたし達は仲が良かったし、一番傍にいる存在だと胸を張って言えた。
だけどそれは過去の事で今千冬がわたしのことを大切だと思っているとは思えない。
千冬を苦しめていたわたしなんかのことを⋯⋯。



