「(千冬ってね、本当に六花ちゃんの事が大好きなのよ)」
「⋯⋯千冬が?」
「(大好きだから、色んな思いが溢れちゃって上手に伝えられないの)」
「⋯⋯」
「(六花ちゃんに嫌な態度を取って本当にごめんなさい)」
「っ雪乃ちゃんが謝ることじゃ⋯」
「(六花ちゃん、千冬のこと呆れないであげてくれる?)」
「⋯呆れる、って⋯」
「(本当は千冬が頑張らなきゃいけないのにあの子ったらわたしに似て臆病なところあるから⋯だから、六花ちゃんには本当に申し訳ないんだけどお願い)」
「⋯⋯」
「(千冬のこと見捨てないであげて)」
「⋯⋯」
「(二人の間に何があったのか分からないけど、きっと二人なら前みたいに戻れるから)」
「前みたいに⋯?」
「(あの子六花ちゃんには嫌な態度を取るくせに、六花ちゃんに嫌われたらやっていけないくらい大切に思ってるよ)」
「⋯千冬が?まさか⋯」
千冬の態度はどちらかと言うと関わりを絶ち、自分のことを嫌いになってくれ、忘れてくれと言っている様なのに?
首を振って乾いた息を零すわたしに雪乃ちゃんは真剣な目をしてわたしの手を握る。
雪乃ちゃんはわたしが千冬を小さい頃から好きな事を知っている。
だけどそれは慰めとは少し違った。
千冬に冷たい態度を取られるわたしを慰めるというにはあまりにも切実な願いに思えたんだ。



