透明を編む 【完結】

それから先生が帰って、夕食を済ませてお風呂に入る。

乳白色をした湯船のお湯に浸かり、先生が言っていた夏祭りの事を思い出せば、やっぱり一番に浮かんでくるのは千冬で。

千冬は今年のお祭りに行くのかな⋯。

誰と行くのかな⋯。

去年もその前も、今年も、本当は千冬と行きたかった。千冬と一緒に屋台を回って、花火を見たかった。

もしも今、千冬に彼女や好きな人がいたらその人と行くのかなと想像したら心がギュッと縮んで、嫌な想像をかき消す様にお湯に顔を埋めた。


⋯⋯出来ることなら今年の花火は千冬と見たいなと叶わない想いを願った。