「ジェラルド様っ!」
「シェリーは不思議な子だよ」
「え?」
「この前は廊下の絵に向かって話しかけていた」
「そ、それはっ!」

 シェリーは確かに話しかけていた、というより廊下で絵に向かってぶつぶつとこの絵の作者は何派だとか筆の流れはこうだとか、古い者だからこれは唯一の作品だとか絵について語っていた。
 その様子をたまたま通りかかったジェラルドに見られていたのだ。

「ちなみにセドリックもいたぞ」
「セドリック様までっ?!」
「それと、庭で見かけたときも花に話しかけていたね」
「ぐっ……」

 シェリーの趣味は園芸であったので、庭にあった珍しい色の花を見てこれまたぶつぶつと話していた。
 単に本人は趣味で無意識に話している独り言なのだが、あまりにも真剣な表情かつ呟いているので彼女の習性を知らない人からすれば少し怖い。

 シェリーはあまりの恥ずかしさに顔を手で覆い隠し、そして身体を縮こませる。