「チカ、すまない。陛下のところまで付き添いたかったが、どうしても彼に会いたくなくってね。それに、部下たちを連れて行かねばならない。あの先頭の二人は、参謀と副将軍の地位に就いている優秀な連中だ。年齢もきみよりすこし上だから、こんなおっさんよりよほど話が合うだろう。あと数時間、彼らがきみをエスコートしてくれる」
「では、ここでお別れということですか?」

 なにもかもが突然すぎる。

 せめてあと数時間、いっしょにいてほしかった。

 ただの甘えということはわかっている。結局、クラウスとは別れることになる。ほんの少しだけそれがはやくなったというだけのこと。