彼は、よほど皇帝が気に入らないのね。

 あいかわらずひどいことを言う。

 それから、いつものようにあれやこれやと話をした。内容は多岐に渡る。だけど、皇帝陛下やその息子たちのことはあまり話題にのぼらない。もしかすると、クラウス自身が気に入らないのでわざと話題を避けているのかもしれない。

 そして、このように葡萄酒を飲みながら気がついたことがある。

 それは、彼があまり飲んでいないということである。