ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?

 とにかく逃げなくては。まずは、ラインハルトの忠告に従うのよ。

 ドレスの中で、靴をずらしつつ脱げるようにした。今日はいつもと違い、さすがにほんの少しだけかかとの高い靴を履いている。が、これではよちよち歩きは出来るけれど、とてもではないけど走ることは出来ない。

 ディアナは素足なので問題ないわよね。

「だったら、諦めることね。ここに金目の物はないし、いつもだったら貴金属を身につけているけれど、今日は全部取り上げられていて何もないのよ。だから、ほんとうになーんにもないのよね」
「命があるだろう?」