さすがはロイター公爵家ね。庭にこんな屋敷を建てているなんて。

 そうよね。いまは、そんなことを感心している場合ではないわね。

 精神を集中し、神経を研ぎ澄ませつつ執事について行く。

 そこにいたると、執事は玄関の扉を開けた。

「妃殿下」

 と認識するまでに、中からだれかが飛び出してきてわたしにぶつかった。