「あの、ディアナさんはどこで待ってくれているのですか?」

 前を行く執事の背に問いかけた。

 どうせ教えてはくれないだろうと思いつつ。

「もうすぐでございます、妃殿下」

 執事は、こちらを振り返るどころか歩調すら緩めることなく答えた。

「見えてまいりました」

 そう言われ、前を見ると建物がドンと建っている。そこまで大きくはないものの、立派な屋敷である。