というわけで、彼は皇宮でも身支度は自分でしてしまう。

 それを、今朝はじめて手伝わせてもらったというわけなのだ。

 シャツを着用するとき、彼の右腕に傷痕があることに気がついた。上腕の裏側だったから、いままで目につかなかった。

 上腕二頭筋から手首にかけて、一筋の線がはしっている。とはいえ、かなり昔のものらしい。

 剣で斬られたもののように見える。