「万が一にも引き離されて一人になってしまい襲撃されるようなことになったら、まずは叫ぶこと。だれかを呼んだり注意をひく。それが出来なければ、とにかく逃げること。以前にも言った通り、戦うよりも逃げるのだ。たしかに、きみの小刀の腕はかなり上達している。驚くほどにね。しかし、実戦経験がない。鍛錬や稽古だけでは、実戦をこなすことは難しい」
「陛下、承知しております」

 気持ちがよすぎて、彼の忠告が子守唄のようにきこえる。