わたしに気を遣ってくれているのである。

 そのようなことは必要ないのに、といつも思っている。汗臭くてもジジイ臭くても、ちっともかまわないのに。

 そう伝えても、彼ははにかんだ笑みを浮かべるだけである。

 でも、彼のそんなささやかな気遣いがうれしすぎる。

 そこまで考えたとき、ハッと現実に引き戻された。ラインハルトの声が、耳に入ってきたからである。