「やだ。もしかして、恋文?」
「バカね、リタ。そんなことがあるわけないでしょう? でも、面白そう」

 ゾフィがわたしの手から封筒をかっさらってしまった。

「イルマ、行っていいわよ。これ、妃殿下を揶揄うネタになるかもしれないから」
「皇子妃殿下、ですが……」
「いいのよ、イルマ。あなたは何も知らない。見なかった。いいわね? 秘密にしておくのよ。そんな顔をしないで。あとであなたのせいにしたりしないから。あの(・・)ディアナみたいにね」