しばし呆然と眺めていると、クラウスは将校服の上着を脱いでそれを椅子の背もたれにひっかけた。シャツの第一ボタンを外すと、ナプキンを広げて胸元にひっかけた。つまり、赤ん坊のよだれかけみたいな感じにした。

「豪快に食う方がうまい。きみもドレスを汚さないよう、同じようにナプキンで胸元を覆った方がいい。さっきも言ったけど、おれたちだけだ。マナーなどいっさい気にせず食ってくれ」

 小さく頷くしかない。

 もちろん、勧めには応じた。