「すごく豊潤な味わいですね」

 葡萄酒の感想は、小説のこういうシーンで登場人物がいう台詞を借りた。

「そうだろう。きみの口にあってよかった。さあ、食べよう。話はあとまわしだ」
「はい」

 そうね。まずは食事よ。

 馬車の中であれほど食べたのに、お腹がペコペコだなんて信じられないわ。

 意気込んでテーブルを見下ろしてみたものの、料理が豪快すぎてなんと評していいのかわからない。