「なんだ?」

 ラインハルトは、名残惜しそうにもう一度わたしをきつく抱きしめてから離れた。

 尋ねた声は、「獅子帝」の鋭く厳しい声音だった。

「陛下、グラーツ将軍閣下がお見えでございます。調練の出発の準備が整ったということです」

 執事長の報告に、ラインハルトは控えの間にグラーツ将軍を通せと命じた。