わたしを見つめたままで反応のない彼に呼びかけた。

 えっ、涙ぐんでいるの?

 彼の目尻に涙が溜まってるように見えるのは、きっと灯りのせいね。

「ああ、すまない。この辺には、夜にだけ咲く花があってね。おれは、その花粉のアレルギーなんだ。とにかく飲もう。いいかげん腕が疲れた」