「そんなときに舞い込んできたのが、ジークとシュッツの暗殺でした。『それでは、お手並み拝見』ということで、意気揚々と二人を殺しに行ったのです」

 ソフィは、「噂にきくかっこいい皇子様を見に行く」的な軽さで言った。彼女は、形のいい唇を開いた。

「二人でいるところにそっと近づき、首をかき切ろうとしたのです。そうすると、二人はわたしたちの気配を察知していたのです」
「あれは感心したわよね、ゾフィ。さすがはバーデン帝国の皇帝の息子にして将校よねって思ったわ」
「そうよね、リタ。久しぶりに興奮したわ。殺し甲斐があるわ、とね」