「お義母(かあ)様、その通りです。それはともかく、わたしの方が姉なのですが、わたしたち姉妹も物心ついたときから暗殺術や諜報や工作や傭兵といったあらゆる技術を身につけ、仕事をこなしてきました。ああ、お義母(かあ)様。身勝手なのですが、倫理観とか同情とかは抜きにしてきいていただけますか? わたしたち、それが当たり前と思って生きてきました。他人(ひと)を殺したり傷つけたりということがどういうことなのかは、それを行ったことのない人たちや非難や軽蔑をする人たち、それから神よりも承知しています。それと、そんな環境で育ってかわいそうというような同情心については、それんな環境が当たり前でしたのでどうも思っていないので必要ありません。朝起きて食事をして夜眠ったりだとか、息を吸ったり吐いたりするのと同じことなのです。ですので、そんな環境がつらかったとか悲しかったということは、いっさいありませんでした」