ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?

 そうはいくものですか。

 目には目を、よ。

 だからがんばった。わざと事もなげに恥ずかしいことを言ってみた。

 こんなことを大勢の前で言うだなんて、褒めてもらいたいくらいね。

「い、いや、なにもそこまで」

 ヨルクは、多くのレディを魅了してやまない美貌を真っ赤に染めつつうしろへよろめいた。

 ほら、やはりそうね。彼の中では、わたしが真っ赤になって最終的にはいたたまれなくなってこの場をあとにすると考えていたのよ。

 ふふん。そうはいかないわ。