「ほら、また冷めている。いらないわ。それも妃殿下に。それと、妃殿下。先程の答えは、ズバリ毒を盛られているかもしれませんので、出来るだけ外では食べないようにしている、です」

 彼女は、美貌に意地悪な笑みを浮かべた。

 いまの回答が模範解答であったかのように、勝ち誇っている。

(あなた、バカね。才女だなんて、盛りすぎた噂もいいところだわ)

 そう思ったけれど、口に出せるわけはないわよね。

 気の毒な侍女がこちらへ向かって来る。

 その瞬間、テーブルクロスの裾が不自然に揺らめいた。