朝、まだ夜が明ける前に起床する。

 わたしたちのいる宮殿の最奥部には、皇族しか入室を許可されていない広間がある。そこは、扉からして重厚で秘密めいている。
 分厚い鉄の扉が、厳しい雇用試験を乗り越えその職を得た宮殿の使用人たちを威圧している。

 その鉄扉にぶつかっただけでクビになり、しかも流刑地に流されたとかなんとか。その話は、噂というよりかは伝説化している。

 その話の真偽はともかく、この開かずの間に近づく者はいない。