皇妃や皇太子妃というレディがうらやむような極上の生活は、小説や物語などで読んで知っている。そういう極上生活がどういうものなのか、わかっているつもりだった。

 バーデン帝国の皇宮での生活は、そんなわたしのささやかな夢や想像を土台から崩し去ってしまうようなものだった。

 それこそ、奇想天外という言葉がぴったりなほどである。

 わたしの乏しい知識や想像力は、根底から覆されたといっても過言ではないと思う。