人々は裕福とまではいかなくても、満ち足りているように見える。普通の毎日を送り、しあわせを噛みしめている。そういう感じかしら。少なくとも、物騒な気配やギスギスした空気は感じられない。

 そういう景色を眺めていると、いかにこのバーデン帝国が豊かで平和であるかを実感する。

 ラインハルト一人のお蔭では決してないでしょうけれど、それでも彼を誇らしく思う。これまで以上に尊敬の念を抱いてしまう。

 だからついつい彼をそのような眼差しで見てしまう。その都度、彼は真っ赤になって俯いてしまう。

 そんな彼がすごく可愛く、愛おしい。

 そんなことを一日中繰り返し、暗くなる直前に帝都に到着した。