「義母(はは)上、のろけて申し訳ありません。とりあえず、いましばらくは家族以外のだれかがいれば、仲の悪いふりをしていただけますか? たとえ侍女や執事たちの前でもです。皇宮の使用人たちは、おれたちの演技に気がついています。ですが、暗黙の了解で気がつかないふりをしてくれているのです。全員が全員ではありませんが、スパイまがいのことをしている者もいます。本人にスパイをしているという自覚がない場合もありますので」