これまでは、貢物とか贈り物とか、国どうしのやりとりのちょっとした「品物」がわりにまわされることが多かった。

 今回も、そのパターンかしら。

 ルーベン王国の国王ヴァルターは、とくに何も触れなかった。とはいえ、物扱いしているわたしに説明なんて必要ないのでしょうけど。

「チカ、座席の上の布を取ってみるといい」

 クラウスが白馬を寄せてきた。窓越しに、スラリとした指が車内の座席の上を指している。

 バスケットらしき物がのっていて、布がかぶされている。