豪華絢爛な馬車の車内もまた、豪華なつくりをしている。とはいえ、居心地えお重視しているので派手さはまったくなく、落ち着いた空間になっている。

 大きな窓から外をうかがうと、森の中をひた走っているので木しか見えない。

 バーデン帝国とルーベン王国とを結ぶ街道は、長い間多くの商人や旅人たちに利用されている。

 ということを、王宮にいるときに図書館にある資料で読んだ。

 わたしがこの街道を通るのは、当然のことながら初めてである。

 そういえば、どうしてバーデン帝国の皇帝に嫁がされることになったのかしら?