そういうわけで、ラインハルトは祖父の背を見て育った。彼は、年頃になるとなんの迷いも疑いも持たず軍の幼年学校に入学した。それから、剣や格闘術を祖父から学んだ。

 ラインハルトが軍人として大成した頃、バーデン帝国は国境を接する三つの国、つまり連合軍を相手に苦戦を強いられていた。皇帝はもちろん、他の皇子たちも奮戦する中で、ラインハルトだけが次々に武功を立てて大活躍した。彼の孤軍奮闘で、バーデン帝国軍はかろうじて勝つことが出来た。