「その、そもそも陛下に嫁ぐつもりでした。それは、いまでもかわりません。最初は、嫁がねばならないから嫁ぐつもりだったのです。ですが、いまは嫁ぎたいと思っています。心からそう思っています。ですから陛下、そんなにがんばらないで下さい。わたしは、多くを望みません。望めばバチがあたります」
「……」

 わたしの手から彼の手が離れた。彼は、金色の瞳の目をパチクリさせている。