不思議なもので、何度も何度も繰り返し言われると少しずつだけどその気になってくる。

 もしかして、暗示かなにかなのかしら?

「いや、ちょっと待ってくれ」

「獅子帝」と異名を持つ皇帝は、隣でモジモジしている。

「ラインハルト・ザックス、だ、です。クラウスは、好きな作家の名なのです」

 皇帝は、隣で体ごとこちらに向けて言った。