ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?

「わ、わかっている。男だったら、何も言わずに、その、彼女を、ああ、抱きしめる? くそっ! どうすれば、ああ、そうか、抱きしめて」

 また彼が何を言っているのかわからなくなってきた。

「気合だ。三万の軍勢を前にしても怯まなかった。五万のときには、雄叫びだけで震え上がらせた」

 ついにブツブツとつぶやき始めた。

 というか、わたしって三万とか五万の軍勢より強敵なのかしら?