「冗談じゃない。さっさと降りてくれ」

 老馭者が気色ばんだ。

「バーデン帝国軍は残忍で容赦ない。なにをされるかわかったもんじゃない」

 老馭者は、わたしをぐいぐい押しはじめた。

 降りるしかない。すぐに馭者台から飛び降りた。