わたしの緊張をよそに、ジークたちは廊下で言い争っている。

「お義母(かあ)様」

 そのとき、ゾフィに肩を叩かれたかと思うと腕をひっぱられた。

 彼女とリタは、廊下側とは違う扉を指さして立ち上がった。

 腕をひっぱられるまま、彼女たちについて行く。

 居間のもう一つの扉から出て厨房を横切り、厨房から廊下へ出た。

 ジークとシュッツ、それから男性の背中が見える。

 リタとゾフィが口の前に指を立て、ソロソロと廊下を歩き始めた。