「これまでは、行く先のことを知らないでいました。知ったところで、自分の待遇は似たり寄ったりです。悪くなることはあってもよくなることはない。ですから、知識も先入観もわざと持ちませんでした。でも、そんな自分にうんざりもしていました。何事にも無関心で興味を持たず、人と接することなくすごしてきましたから。しかし、今回は自分を変えようと思いついたのです。というのも、これまで以上に過酷な気がしましたので。これを機に、自分を変えてみようと。ですので、『獅子帝』の噂をきいたりしました。そして、クラウス様やあなたたちにも尋ねたわけです」

 二人とも、なるほどというようにうなずいた。